切迫早産で仕事を休んだら?傷病手当金の条件・金額と申請方法
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切迫早産や切迫流産で急に仕事を休むことになったとき、「妊娠は病気ではないから傷病手当金は使えない?」と迷う人もいるでしょう。この記事では、妊娠中の病気で休職した健康保険の被保険者本人が、傷病手当金を受け取るための条件、待期の数え方、支給額、出産手当金との調整、申請書の流れを整理します。育休中の2児のパパである僕が、一次ソースで確認した内容に絞って解説します。
妊娠そのものと妊娠中の病気は扱いが違う
傷病手当金の対象を考えるときは、正常な妊娠そのものと、妊娠中に起きた病気や異常を分けます。こども家庭庁は、妊娠は病気ではないため基本的に傷病手当金の対象にならない一方、切迫早産や切迫流産などで入院したり、医師から安静を指示されたりした場合は支給対象になると案内しています。
ただし、病名が付けば自動的に支給されるわけではありません。協会けんぽは、労務不能かどうかについて、医師の意見に加え、被保険者が従事している業務の内容やそのほかの条件を考慮して判断するとしています。通勤が難しい、立ち仕事ができないという事情があっても、最終的な支給可否は申請内容を基に保険者が審査します。
お腹の張りが治まらない場合や、性器出血、破水が疑われる場合は、手当の確認より受診が先です。こども家庭庁も、症状に応じて医療機関へ相談・受診するよう案内しています。まず主治医へ症状と仕事内容を具体的に伝え、療養と休業が必要かを確認しましょう。

傷病手当金を受け取るための4要件
協会けんぽの傷病手当金は、健康保険の被保険者本人が次の要件をすべて満たす場合に対象となります。家族の健康保険の被扶養者は、この傷病手当金の対象ではありません。
| 要件 | 妊娠中に確認すること |
|---|---|
| 業務外の病気やけがの療養 | 切迫早産、切迫流産など、妊娠そのものではない病気や異常の療養であるか |
| 仕事に就くことができない | 医師の意見と、実際の仕事内容を踏まえて労務不能と判断されるか |
| 連続する3日間を含み4日以上休む | 連続3日の待期が完成し、4日目以降にも休業日があるか |
| 休業期間に給与の支払いがない | 会社から給与や固定的な手当が支払われていないか |
業務上または通勤途中の病気やけがは、健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険の給付対象となる可能性があります。また、入院だけが条件ではありません。協会けんぽは、仕事に就けないことの証明があれば、自宅療養の期間も支給対象になり得ると案内しています。
有給休暇・会社の給与と待期期間の考え方
有給休暇の賃金は支給額との調整対象
休業日に会社から給与が支払われている間は、原則として傷病手当金は支給されません。ただし、会社から支払われる給与額が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。給与と傷病手当金を同額で重ねて受け取る仕組みではありません。
調整対象となる報酬には、有給休暇の賃金のほか、出勤の有無にかかわらず支給される通勤手当、扶養手当、住宅手当、食事や住居の現物支給などが含まれます。会社がどの手当を休業中も支払うかは、給与明細だけで判断せず、人事・労務担当者へ確認してください。
協会けんぽ北海道支部の資料には、会社から家族手当5,000円と、有給休暇を取った日に日給10,000円が支払われ、傷病手当金の日額が6,147円である計算例があります。家族手当は申請期間の31日で割って日額162円とされ、有給休暇の日は給与が傷病手当金の日額を上回るため不支給、それ以外の支給対象日は6,147円-162円=5,985円と計算されています。これは公式資料の例であり、申請者の固定額ではありません。

待期は連続3日、支給対象は4日目以降
待期期間は、療養のために仕事を休んだ日から連続3日です。この3日間には、有給休暇と土日・祝日等の公休日も含まれ、給与が支払われたかどうかは問いません。連続2日休んだ後、3日目に仕事をすると待期は完成しません。
傷病手当金の支給対象になるのは、待期が完成した後の4日目以降で、療養のため仕事に就けなかった日です。有給休暇を待期に使えることと、有給休暇の賃金が支給額との調整対象になることは別の話なので、混同しないようにしましょう。
支給額は標準報酬月額で計算する
1日当たりの支給額
協会けんぽの計算式は、「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3です。ここでいう支給開始日は、最初に傷病手当金が支給された日を指します。手取り給与や振込額へ単純に2/3を掛ける計算ではありません。
協会けんぽの掲載例では、標準報酬月額が前半6ヵ月は16万円、後半6ヵ月は18万円の場合、12ヵ月の平均は17万円です。17万円÷30日は5,670円、さらに2/3を掛けた1日当たりの支給額は3,780円とされています。これは制度を説明する掲載例であり、実際の支給額は被保険者ごとの標準報酬月額と休業状況で変わります。
被保険者期間が12ヵ月に満たない場合
支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、「支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均」と、協会けんぽの基準となる平均額のうち低い額を使います。支給開始日が2025年4月1日以降の人について、協会けんぽが示す比較対象の平均額は32万円です。
支給可能期間
同一の傷病について支給できる期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。暦の上で連続した1年6ヵ月分が必ず支払われるという意味ではなく、支給対象となった日を通算する仕組みです。
出産手当金と重なる期間は差額調整になる
切迫早産などで傷病手当金を受けている途中に産前期間へ入ると、出産手当金の対象期間と重なることがあります。協会けんぽでは、出産手当金は出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み給与の支払いがなかった期間が対象です。
両方の受給要件を満たす期間は、出産手当金が支給されます。ただし、出産手当金の日額が傷病手当金の日額より少ない場合は、傷病手当金を請求することでその差額が支給されます。つまり、重複期間に各手当を満額ずつ受け取るのではなく、出産手当金の日額と傷病手当金の日額を比較して調整します。
協会けんぽ京都支部の研修資料では、重複期間の傷病手当金の日額が5,200円、出産手当金の日額が5,000円なら、傷病手当金は差額の200円を日額で支給する例が示されています。反対に、出産手当金の日額が傷病手当金の日額以上なら、重複期間の傷病手当金は支給されません。これも差額調整を説明する公式資料の計算例で、実際の各日額は申請者ごとに計算します。
両制度の1日当たりの基本式はいずれも、「それぞれの支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3です。ただし、それぞれの支給開始日が異なれば計算に使う月も変わる可能性があります。産前期間へ入る前に、加入先の保険者へ両方の申請が必要か確認しておくと整理しやすいでしょう。

医師と会社に依頼する申請書の流れ
協会けんぽの申請書は、被保険者、事業主、主治医がそれぞれ必要項目を記入します。長期の休業では、給与の支払い有無について事業主の証明が必要になるため、協会けんぽは1ヵ月単位で給与の締切日ごとに申請することを勧めています。
- 本人:加入先の保険者と会社の提出方法を確認し、被保険者記入欄と申請期間を記入する
- 主治医:療養のため仕事に就けなかった期間について、療養担当者記入欄への記載を依頼する
- 会社:勤務状況と、申請期間に支払った給与・手当について事業主証明を依頼する
- 提出:必要欄と添付書類を確認し、加入先の協会けんぽ支部または健康保険組合へ提出する
協会けんぽでは電子申請を案内しており、紙の申請書は加入している支部へ郵送します。健康保険組合に加入している人は、様式や提出経路が異なることがあるため、その組合と会社の案内を確認してください。医療機関へ記入を依頼する前に、申請期間と記入可能な時期も聞いておくと往復を減らせます。
妊娠中の傷病手当金FAQ
Q1. 切迫早産で自宅安静でも対象になりますか?
入院は必須要件ではありません。健康保険の被保険者本人が、業務外の病気の療養のため仕事に就けず、待期や給与などの要件も満たし、労務不能と判断された場合は、自宅療養期間も支給対象になり得ます。
Q2. 最初の3日を有給休暇にしても待期になりますか?
療養のため仕事に就けない日が連続していれば、有給休暇も待期に含まれます。土日・祝日等の公休日も含まれます。ただし、3日目に仕事をした場合は連続3日にならないため、待期は完成しません。
Q3. 産休に入ったら傷病手当金は止まりますか?
傷病手当金と出産手当金の要件を両方満たす重複期間は、出産手当金が支給されます。出産手当金の日額が傷病手当金の日額より少ない場合は、傷病手当金を請求すると差額が支給されます。加入先の保険者へ両方の申請方法を確認してください。
制度内容は2026年8月5日確認です。申請前には、加入先の協会けんぽ支部または健康保険組合と勤務先へ最新の取扱いを確認してください。




