育児時短就業給付金はいくら?対象条件・計算方法・申請手続き
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時短で職場復帰すると、給与はいくら減り、育児時短就業給付金はいくら受け取れるのでしょうか。この記事では、対象者の条件、時短前後の賃金の見方、支給額の計算、会社経由の申請手続きを整理し、復帰前に給与と給付金を同じ表で比べるところまで解説します。
育児時短就業給付金とは
育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者が、賃金の低下など一定の要件を満たしたときに受け取れる給付金です。2025年4月1日に創設されました。
原則の支給額は、育児時短就業中の各月に実際に支払われた賃金額の10%です。ただし、時短後の賃金が時短前に近い月は給付率が調整され、賃金が低下していない月などは支給されません。
制度のポイントは、勤務時間を短くした割合に10%を掛けるのではなく、その支給対象月に支払われた賃金額を基に計算することです。給与と給付金を合わせても、時短開始時の賃金額を超えないように設計されています。
給付の対象になる人とならない人
受給資格は子の年齢と雇用保険期間から確認
受給資格を確認するときは、まず次の条件を見ます。
- 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して働く雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者である
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同じ子について育児時短就業を始めた
- または、時短開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月ある。11日以上の月がない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある完全月で確認する
「育児休業から引き続き」には、復職日から時短勤務を始める場合だけでなく、育児休業の終了日と時短開始日の間が14日以内の場合も含まれます。雇用形態の名称だけで判断せず、雇用保険の被保険者であるか、所定労働時間が短縮されているかを会社に確認しましょう。

支給対象月ごとにも条件がある
受給資格があっても、各月について、月の初日から末日まで続けて被保険者であること、育児時短就業した期間があること、月の初日から末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受けていないこと、高年齢雇用継続給付の受給対象でないことが必要です。
早退や欠勤で実労働時間と賃金が減っただけで、所定労働時間を短縮していない人は対象になりません。また、短縮後の週所定労働時間が20時間未満の人は、子が小学校就学の始期に達するまでに週20時間以上へ戻ることが就業規則などの書面で確認できる場合を除き、雇用保険の被保険者資格を失うため対象になりません。
時短前賃金と時短後賃金から支給額を計算する
育児時短就業開始時賃金月額の確認方法
比較の基準になる「育児時短就業開始時賃金月額」は、原則として、同じ子に係る最初の時短開始前の直近6か月間の賃金総額を180で割り、30を掛けて求めます。臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除きます。
育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同じ子について時短勤務を始めた人は、その育児休業給付に使った休業開始時賃金日額に30を掛けた額が基準です。2026年8月1日から2027年7月31日まで、育児時短就業開始時賃金月額は上限496,200円、下限96,090円です。
時短勤務月は「その月に支払われた賃金」を見る
時短後賃金は、その月の勤務分ではなく、支給対象月に実際に支払われた賃金で確認します。臨時の賃金と3か月を超える期間ごとの賃金は含みません。給与が翌月払いの会社では、勤務月と支払月がずれるため、給与明細の支給日と総支給額を見てください。
| 時短後賃金の水準 | 支給額の考え方 |
|---|---|
| 時短開始時賃金月額の90%以下 | 支給対象月に支払われた賃金額×10% |
| 90%超~100%未満 | 賃金と給付の合計が時短開始時賃金月額を超えないよう給付率を調整 |
| 100%以上 | その支給対象月は不支給 |
厚生労働省の例では、時短開始時賃金月額が300,000円、支給対象月に支払われた賃金額が200,000円なら、90%以下なので支給額は20,000円です。賃金額が280,000円なら90%を超えるため、支給率は6.43%に調整され、支給額は18,004円です。
給付額だけを見ると復帰前との差を見落とすため、賃金と給付の合計まで同じ行で計算します。まず総支給ベースの差を出し、給与からの控除は別欄で確認する順番にします。
| 時短開始時賃金月額 | 時短後賃金 | 給付金 | 賃金+給付 | 開始時との差 |
|---|---|---|---|---|
| 300,000円 | 200,000円 | 20,000円 | 220,000円 | 80,000円 |
| 300,000円 | 280,000円 | 18,004円 | 298,004円 | 1,996円 |

支給限度額と最低限度額にも注意
2026年8月1日から2027年7月31日までの支給限度額は484,121円です。賃金と計算上の支給額の合計がこれを超える場合は、「484,121円-支給対象月に支払われた賃金額」が支給額になります。支給対象月に支払われた賃金額自体が484,121円以上なら支給されません。
同じ適用期間の最低限度額は2,562円です。計算した支給額が2,562円以下の場合も支給されません。これらの額は毎年8月1日に改定されるため、2027年8月1日以後の支給分は、その時点の厚生労働省資料で確認してください。
支給開始から終了までの流れ
支給の判定は暦月ごとです。原則として、時短勤務を始めた日の属する月から、時短勤務を終えた日の属する月までが支給対象月になります。月の途中に開始・終了しても、その月について支給要件と賃金額を確認します。
子の年齢による終了日は誤解しやすいところです。制度上「子が2歳に達する日」は2歳の誕生日の前日なので、年齢上限による支給は2歳の誕生日の前々日が属する月までです。
このほか、月の途中で退職などにより被保険者でなくなった場合は前月まで、産前産後休業・育児休業・介護休業を始めた場合は開始日の前日が属する月までが対象です。別の子について時短勤務を始めた場合や、子を養育しなくなった場合にも、現在の子に係る支給期間は終了します。
会社経由で行う申請と必要書類
原則は会社がハローワークへ提出
手続きは、被保険者を雇用する会社が、時短開始時賃金の届出、受給資格確認、支給申請を行います。申請先は会社の所在地を管轄するハローワークで、電子申請も利用できます。本人が希望すれば受給資格確認と支給申請を直接行えますが、時短開始時賃金の届出は会社が行います。
初回申請は、最初の支給対象月の初日から数えて4か月以内です。支給申請は原則として2つの支給対象月をまとめ、2か月ごとに行います。本人が希望する場合は1か月ごとの申請も可能です。2回目以降の期間は、ハローワークが交付する次回支給申請日指定通知書で確認します。
初回に準備する書類
- 育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書
- 賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書など、時短開始日、賃金、支払い状況、週所定労働時間を確認できる書類
- 母子健康手帳や住民票など、育児の事実、出産予定日、出生日を確認できる書類
同じ子について育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短勤務を始めた場合は、賃金月額証明書・賃金証明書が不要です。すでに同じ子の育児休業給付で育児の事実を確認する書類を提出している場合も、その書類は不要です。2回目以降は支給申請書と、賃金の額・支払い状況・週所定労働時間を確認できる書類を提出します。
審査後は支給決定通知書で可否と支給額が通知され、支給決定から本人名義の指定口座への振込みまで約1週間と案内されています。実際の申請日と社内締切は、復帰前に人事・労務担当者へ聞いておきましょう。
復帰前に作る手取り比較表
給付金だけを計算しても、復帰後の家計はつかみにくいものです。「時短前給与」「時短後給与」「給付金」「給与からの控除」「保育料や通勤費」を同じ表に並べると確認しやすくなります。
| 比較項目 | 時短前 | 時短復帰後 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 総支給額 | 直近の給与明細 | 会社の試算 | 人事・給与担当 |
| 育児時短就業給付金 | 対象外 | 賃金水準から試算 | 会社・ハローワーク |
| 給与からの控除 | 給与明細 | 会社へ確認 | 人事・給与担当 |
| 保育料・通勤費など | 現在額 | 復帰後の見込み | 自治体・会社 |
| 家計に残る見込み | 収入-支出 | 給与+給付金-支出 | 家庭で比較 |
時短後の給与は、労働時間に単純比例するとは限りません。基本給、各種手当、残業の扱いを会社に確認し、給付金は支給対象月に「実際に支払われる賃金」で計算してください。上限額や給付率の調整もあるため、手取り表では給付金を固定額にせず、月ごとに更新すると差を追いやすくなります。

申請前に残る計算と手続きの疑問
Q1. 時短中の給与が時短前の90%以下なら、給付率は何%ですか?
支給要件を満たす雇用保険の被保険者については、支給対象月に支払われた賃金額の10%が原則です。ただし、賃金と給付の合計が支給限度額を超える場合や、計算額が最低限度額以下の場合は調整または不支給になります。
Q2. 育休を取らず、産後休業後すぐ時短勤務を始めても対象ですか?
育児休業を取っていないことだけで対象外にはなりません。2歳未満の子のために所定労働時間を短縮する雇用保険の被保険者で、時短開始前2年間の被保険者期間に関する要件などを満たすか確認されます。
Q3. 申請は本人がしなければなりませんか?
原則として会社が手続きを行います。本人が希望すれば受給資格確認と支給申請を直接行えますが、育児時短就業開始時賃金の届出は会社が行う必要があります。まず人事・労務担当者へ社内の提出方法を確認してください。




