医療費控除はいくら戻る?共働き子育て世帯の計算と申請のコツ
最終更新:2026年7月11日
- 医療費控除は、1年間の医療費が原則10万円(総所得200万円未満なら総所得の5%)を超えた“分”が対象です。
- 「10万円戻る」ではありません。 実際に戻る・軽くなるのは「控除額 × 税率」の分です。
- 共働きは、医療費を家族で合算して1人がまとめて申告できます。一般に所得(税率)の高い方が有利なことが多いですが、例外もあります。
- 会社員でも、還付申告(翌年1月1日から5年間可能)で手続きできます。年末調整では受けられません。
子育て世帯だと、家族の通院や入院で医療費がかさむ年があります。そんなときに使えるのが医療費控除ですが、「結局いくら戻るの?」「共働きだけど、どっちで申告すればいいの?」と迷いがち。この記事では、国税庁の情報をもとに、計算のしかたと申請のコツを、具体例つきで整理します。
まず、計算のしかたを知る

医療費控除額は、次の式で計算します。
この「10万円」は、総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%に下がります。つまり所得が低めの人ほど、少ない医療費でも対象になりやすい、ということです。控除額の上限は200万円です。対象になるのは、本人だけでなく生計を一にする配偶者や家族のために支払った医療費で、その年の1月1日〜12月31日に実際に支払った分が対象です。
「いくら戻る」の正体は、控除額×税率

ここが最大の誤解ポイントです。医療費控除は「税金そのものを差し引く」制度(税額控除)ではなく、所得を減らす制度(所得控除)です。だから、控除額がそのまま戻るのではなく、「控除額 × その人の税率」の分だけ税金が軽くなります。
具体例で見てみましょう(税率は所得により異なるため、あくまで考え方を示す概算です)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間の医療費 | 30万円 |
| 保険金などの補てん | 5万円 |
| 控除額(30万−5万−10万) | 15万円 |
| 所得税の軽減(税率20%と仮定) | 約30,000円 |
| 住民税の軽減(税率10%) | 約15,000円 |
| 負担が減る合計(目安) | 約45,000円 |
このように、15万円の控除で戻る(軽くなる)のは約4.5万円。「15万円が戻ってくる」わけではない点に注意してください。
共働きは「どっちで申告」すると得?

共働き世帯でよくある疑問がこれです。ポイントは2つあります。
- 家族の医療費は合算して、1人がまとめて申告できる。 夫婦バラバラに申告するより、合算して1人で出すほうが、足切り(10万円)を1回で済ませられて有利です。
- 一般には、所得(税率)の高い方に寄せると得なことが多い。 同じ控除額でも、税率が高い人のほうが軽くなる税額が大きいためです。
対象になる費用・ならない費用

| 対象になりやすい | 対象になりにくい |
|---|---|
| 診療費・治療費、入院費 | 健康増進のサプリメント |
| 治療に必要な医薬品代 | 美容目的の施術 |
| 通院の公共交通機関の交通費 | 自家用車のガソリン・駐車場代 |
| 出産費用、治療目的の歯科 | 予防接種、異常のない健康診断 |
費目ごとの細かな可否は、国税庁のページで個別に確認できます。判断に迷うものは、「治療のためか、予防・美容のためか」を基準に考えると分かりやすいです。なお、市販薬の一部には「セルフメディケーション税制」という別の制度もありますが、通常の医療費控除とはどちらか一方の選択制(併用不可)です。医療費が10万円に届かない年は、こちらが有利になることもあります。
申請は、この4ステップ

- 1年分の医療費の領収書・医療費通知を集める。 家族全員分をまとめます。
- 「医療費控除の明細書」を作成する。 領収書の提出は不要ですが、5年間は自宅で保管します。医療費通知やマイナポータル連携のデータも使えます。
- 確定申告書に添付して提出する。 e-Tax・郵送・窓口のいずれでもOKです。
- 還付申告は翌年1月1日から5年間可能。 会社員でも、この還付申告で手続きできます。
「去年、医療費がけっこうかかったな」という年は、5年前までさかのぼって申告できます。あきらめずに、領収書を引っ張り出してみる価値はあります。
市販薬が多い年は「セルフメディケーション税制」も
通院より市販薬をよく買う、という年は、もう一つの選択肢「セルフメディケーション税制」も知っておくと得です。これは、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)の年間購入額のうち、12,000円を超える部分(上限88,000円)が控除対象になる制度です。
たとえば、対象の市販薬を年間3万円買った場合、3万円 − 1.2万円 = 1.8万円が控除対象になります。通常の医療費控除には「10万円の壁」がありますが、こちらは12,000円からと、ぐっとハードルが低いのが特徴です。ただし通常の医療費控除とは、どちらか一方しか選べません(併用不可・あとからの変更も不可)。医療費が10万円に届かない年は、こちらのほうが有利になることもあるので、両方をざっと計算して、有利な方を選ぶのがコツです。対象の市販薬にはパッケージに識別マークが付いていることが多いので、レシートと合わせて保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
まとめ:まず「10万円を超えたか」を確認
- 対象は10万円(低所得なら総所得の5%)を超えた分。
- 戻るのは「控除額×税率」。10万円が戻るのではない。
- 共働きは合算して1人で。所得の高い方が有利なことが多い。
育休中に家計と本気で向き合い、家計に効く制度を実際に使いながら発信中。「損したくない」ふつうの家庭目線で、むずかしい制度をかみくだいて届けています。
※本記事は国税庁の情報(令和7年4月1日現在)をもとにした情報提供です。税額の例は概算で、実際は各人の所得・課税区分により異なります。個別の判断は最新の国税庁情報や税務署・税理士にご確認ください。
出典:国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき/国税庁 No.1129 セルフメディケーション税制(2026年7月11日時点で確認)