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ℹ️ 本記事は国税庁・厚生労働省が公開している所得税の配偶者控除・配偶者特別控除、育児休業給付に関する公式情報をもとに整理したものです。控除の適用可否は世帯の状況によって変わるため、実際の判定・申告は必ずお手元の年末調整書類や税務署・国税庁サイトでご確認ください。
📌 この記事で分かること(30秒でわかる結論)

  • なぜ使えるかも?:育休中の給付金(育児休業給付金・出産手当金など)は非課税で「合計所得金額」に含まれないため、育休を取った年は配偶者の所得が基準以下になりやすいです。
  • 基準はいくら?:配偶者の合計所得58万円以下なら配偶者控除、58万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象(給与収入だけならおおよそ123万円以下・200万円前後が目安)。
  • どうすればいい?:年末調整の「配偶者控除等申告書」に給付金を含めずに見積額を書く。書き忘れても確定申告(還付申告)で5年間はさかのぼれます

「育休で妻(または夫)の年収がガクッと下がった年、うちの年末調整って何か変わるんだろうか」——共働きで配偶者が育休を取った年に、そう思ったことはありませんか。

結論から言うと、育休で年収が下がった年は、共働き世帯でも配偶者控除配偶者特別控除の対象になっている可能性があります。ポイントは、育休中に受け取る給付金が非課税で、税法上の「所得」にそもそも入らないという一点です。

ここでは給付金の扱いと配偶者控除の基準を、年末調整の申告イメージまで一続きで整理します。

知らずに見過ごすと、年間数万円単位の税負担を余計に払い続けることになりかねません。まずは基準からおさらいします。

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ポチ:「“育休中は給付金だけだから所得はほぼゼロのはず”って感覚はあっても、実際に基準の数字まで確認した人は少ないワン。まずは数字を並べてみるワン🐾」

配偶者控除・配偶者特別控除の所得基準をおさらい

配偶者控除・配偶者特別控除は、どちらも配偶者の合計所得金額で対象になるかが決まります。令和7年度の税制改正で基準額が変わっており、令和7年分以後(今年の令和8年分の年末調整も同じ基準)は次のとおりです。

配偶者の合計所得金額 使える控除
58万円以下 配偶者控除(最大38万円、70歳以上は最大48万円)
58万円超133万円以下 配偶者特別控除(38万円〜1万円まで段階的に減少)
133万円超 対象外

この58万円という基準は、令和6年分までは48万円でした。令和7年12月1日施行の税制改正で10万円引き上げられ、58万円になっています。

給与収入だけの人なら、給与所得控除の最低保障額65万円を足した123万円以下が配偶者控除の目安です。おおよそ200万円前後までが配偶者特別控除の目安(上限付近は計算式の性質上多少前後します)で、控除を受ける側(納税者本人)の合計所得金額が1,000万円以下であることも条件です。

いわゆる「103万円の壁」が「123万円の壁」に変わった、という報道を見た人もいるかもしれません。これはこの基準額の引き上げが元になっています。

出典:国税庁タックスアンサーNo.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか国税庁タックスアンサーNo.1195 配偶者特別控除国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

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育休中の給付金は非課税=所得判定に入らない

ここが今回の記事の一番のキモです。育休中にもらう主な給付金は、次のとおりすべて非課税所得で、配偶者控除・配偶者特別控除の判定で使う「合計所得金額」に含まれません。

育児休業給付金や出産手当金は非課税で配偶者控除の判定に使う合計所得金額に含まれないことを示す図解
給付金 非課税の根拠
育児休業給付金・出生時育児休業給付金 雇用保険法第12条により非課税
出生後休業支援給付金(2025年4月創設) 同じく雇用保険法第12条により非課税
出産手当金 健康保険法に基づく給付=非課税

国税庁の確定申告書等作成コーナーのよくある質問でも、「育児休業基本給付金の支給を受けている配偶者」について、控除対象配偶者に該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額には含まれませんと明記されています。出産手当金についても同様の扱いです。

2025年4月に新設された出生後休業支援給付金については、育児休業給付と同じ雇用保険法第12条(給付金は租税その他の公課の対象としない、という条文)に基づく給付です。国税庁のFAQには給付金名の個別記載がまだありませんが、法律上の位置づけは育児休業給付金と同じであるため、非課税として扱われます。

給付金の名称だけで判断せず、非課税の根拠となる条文まで確認すると整理しやすくなります。

つまり、育休中に受け取っているのが給付金だけであれば、その期間の「所得」はゼロとして扱われます。年収が下がったように見えるのに配偶者控除の判定に反映されないのではなく、給付金は最初から判定の外にあるという理解が正確です。

育休給付金そのものの金額や支給率の仕組みは育休給付金がいくらもらえるかを整理した記事で詳しく解説しています。あわせて読むと、「非課税の給付金」と「税法上の所得」が別モノだという整理がよりクリアになるはずです。

出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問「育児休業基本給付金の支給を受けている配偶者」同「出産育児一時金の支給を受けている配偶者」厚生労働省 出生後休業支援給付金の創設についてe-Gov法令検索 雇用保険法第12条(公課の禁止)

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給与と非課税給付を分ける判定例

「共働きだから配偶者控除は関係ない」と見なされがちですが、育休中は例外が生まれます。でも育休で年収が大きく下がった年だけは、話が変わります。

育休で年の途中から休業した年の給与収入と配偶者控除38万円の関係を示す簡易試算の図解

具体的なイメージで見てみます。妻(または夫)が1月から4月まで通常どおり働き、5月から産休・育休に入ったケースを考えてみましょう。

仮に1〜4月の給与収入の合計が120万円だったとします。給与所得控除は令和7年分以後、最低保障額が65万円に引き上げられているので、給与所得(合計所得金額)は120万円-65万円=55万円です。

55万円は58万円以下なので、配偶者控除(最大38万円)の対象になります。5月以降にもらっている育休給付金は非課税でこの55万円に加算されないので、休業が長引くほど合計所得は増えず、条件を満たしやすくなります。

年末調整では、入金額を全部足すのではなく、給与収入と非課税給付を別の行へ置くのが先です。次の試算表なら、どの数字を判定へ入れたかを後から確認できます。

確認項目 例の金額 計算 判定での扱い
1〜4月の給与収入 120万円 120万円-65万円 給与所得55万円
5月以降の育休給付金 非課税 55万円+0円 合計所得55万円
配偶者控除の基準との比較 58万円以下 58万円-55万円 基準まで3万円

この例で最初に確かめるべきなのは税率ではなく、給与所得が58万円以下かどうかです。控除による税負担の差は、対象になると判定できた後に計算します。

簡易試算で税負担への影響も見ておきます。配偶者控除38万円がつくと、納税者本人の所得税率10%・住民税率10%の家庭なら年間およそ7万6,000円(38万円×20%)、所得税率20%の家庭ならおよそ11万4,000円、税負担が軽くなる計算です。

あくまで簡易計算ですが、「気づかなければ、それだけ余計に払い続ける」規模の金額だとイメージしてください。

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年末調整でどう申告するか(記入例)

令和7年分以後の年末調整では、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除の申告書が1枚に統合されました。

正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という長い書類です。育休中の配偶者がいる場合、この配偶者控除等申告書の欄で申告します。

  1. ①配偶者の氏名・生年月日を記入する。
  2. ②配偶者の「本年中の合計所得金額の見積額」を記入する。ここに育休給付金・出産手当金は含めない。育休期間中に実際に会社から支払われた給与収入だけを基準に、年間の給与所得を見積もる。
  3. ③見積額が58万円以下なら配偶者控除、58万円超133万円以下なら配偶者特別控除の欄に、控除額の判定区分をあてはめる。
  4. ④会社に提出する。見積額が実際とズレそうな場合は、年内に給与担当へ再提出できることが多いので早めに相談する。
年末調整の配偶者控除等申告書に育休給付金を含めず給与収入だけで見積額を書く手順の図解
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ポチ:「見積額の欄に、うっかり給付金の金額まで足してしまう人がいるワン。それをやると本当は対象なのに『対象外』扱いになって損するワン🐾」

年の途中で育休に入った場合、12月時点でその年の給与収入はほぼ確定しているので、見積額の精度は上げやすいはずです。差が出た場合は翌年の確定申告で調整できます(次の見出しで説明します)。

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見落とすと数万円損する理由

見落としやすい理由は2つ重なっています。

見落としが起きやすい2つの理由

  • ①「共働き=配偶者控除は関係ない」という思い込みがある
  • ②非課税の給付金が入ってくるので、「今年もそれなりに収入がある」と感覚的に錯覚してしまう

この錯覚は育休中に住民税の納付書が来る理由を解説した記事とセットで整理すると解けやすくなります。住民税は前年の所得で決まるため、「今の実感」と「税務上の判定基準」がズレるのは育休期間によくあることです。

配偶者控除の判定も同じで、感覚ではなく合計所得金額という具体的な数字で見る必要があります。

もう一点、合計所得金額が下がると、配偶者控除だけでなく児童手当ふるさと納税の控除上限額など、他の制度の判定にも影響が及びます。

育休で年収が下がった年は、配偶者控除だけを単発で確認するのではなく、家計に関わる制度をまとめて見直す年だと考えたほうが、結果的に見落としが減ります。

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確定申告で後から取り戻せるケース

年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除の申告を忘れていた、あるいは見積額を間違えて対象から外れてしまった場合でも、あきらめる必要はありません。確定申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から5年間行うことができます。

会社の年末調整をやり直せなかった年でも、自分で確定申告をすれば所得税の還付を受けられる可能性があります。

年末調整を例年どおり「配偶者控除なし」で提出した後でも、対象だったと分かれば還付申告を検討できます。年末調整の見落としと確定申告の可否を分けて考えるのが大切です。

出典:国税庁タックスアンサーNo.2030 還付申告

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ポチ:「今年の年末調整で書き忘れても、慌てなくて平気だワン。5年間はやり直せるから、思い出した時点で確定申告すればいいワン🐾」

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年末調整で迷いやすい判定を確認する

Q. 育休中にもらえる給付金は本当に「所得」に入らないのですか?
A. 育児休業給付金や出生後休業支援給付金、出産手当金は、雇用保険法や健康保険法に基づく給付として非課税所得にあたります。
配偶者控除・配偶者特別控除の判定で使う「合計所得金額」には含まれません(国税庁)。


Q. 夫婦どちらが育休を取っても配偶者控除は使えますか?
A. 性別に関係なく、育休で給与収入が下がった側の合計所得金額が58万円以下(配偶者控除)または58万円超133万円以下(配偶者特別控除)なら対象になり得ます。
ただし控除を受ける側(納税者本人)の合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。


Q. 年末調整で配偶者控除を申告し忘れたらもう終わりですか?
A. 会社の年末調整で反映できなかった場合でも、確定申告(還付申告)は翌年1月1日から5年間行えます。
育休中の年の分もさかのぼって申告し、所得税の還付を受けられる可能性があります。


Q. 育休中に少し働いて給与をもらった場合はどうなりますか?
A. 育休給付金自体は非課税ですが、実際に働いて受け取った給与は通常どおり給与所得に含まれます。
年間の給与収入の合計で123万円や200万円前後の基準を超えないか、見積額の時点で確認が必要です。

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まとめ|育休で年収が下がった年、誰が確認すべきで誰は気にしなくていいか

育休中の給付金は非課税で、配偶者控除・配偶者特別控除の判定基準である「合計所得金額」にそもそも含まれません。育休で年の一部しか働いていない年は、給与収入だけで見た合計所得金額が58万円以下(配偶者控除)や133万円以下(配偶者特別控除)の基準に収まりやすくなります。

年末調整の見積額には給付金を含めず給与収入だけで判定すること、書き忘れても確定申告で5年間はさかのぼれることを押さえておけば、まず損をすることはありません。

  • 確認すべき人:共働きで、今年か去年、夫婦どちらかが育休・産休を取り年収が大きく下がった家庭。年末調整の配偶者控除等申告書をまだ書いていない、あるいは去年分の申告に不安がある家庭。
  • 気にしなくていい人:配偶者の給与収入が育休中でも普段からおおよそ200万円を超えていて、休業期間も短い家庭。この場合は基準に届かず、控除の対象にはなりません。

「共働きだから関係ない」と決めつけずに、育休を挟んだ年だけは一度、配偶者の合計所得金額を給与収入だけで数え直してみることをおすすめします。

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📚 この記事は「子育てのお金」シリーズの一部です。
全体像とおすすめの読む順番はこちら → 男性育休のお金まとめ|給付金・社保免除・手続きの順番を解説

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